「万引き家族」
この映画を友人に勧められ、Amazonプライムで無料で観ることにした。
卒論は後回しでいいよね、うん笑
この作品はタイトルの通り、生計を立てるために万引きをしながら暮らす一家(父、母、兄妹三人、祖母)の話。
最初は貧困をテーマにした家族の話に感じるが、だんだんと真のテーマが現れてくる。
実はこの一家、全員血の繋がりも法的な繋がりも無い疑似家族だったのだ。
家族の一人の少年、祥太が万引きで警察に捕まったことをきっかけに、この家族は崩壊していく。
祥太は福祉施設で暮らすことに。
妹として迎え入れ、一緒に暮らしていたリンは、元の家族の元へ。そして彼女は再び虐待を受けることになる。
父、母と思われていた治と信代は捕まり、祖母(と思われていたおばあちゃん)の死体遺棄・少女誘拐の罪に問われる。
(おばあちゃんの葬式費用は無いから庭に埋め、リンは虐待されていたので家に招いたのだった。)
信代は治を庇って一人で罪を背負うことに。
仲の良かった疑似家族が壊れ、血縁と法的なつながりのある家族の元にそれぞれ戻ることで、かえって不幸になるという皮肉なエンディングだった。
感想
家族になりすまして暮らしていたこの人たち。
最後の警察の取り調べで、残酷なまでに追い詰められる治と信代が印象的だ。
特におばあちゃんの死体遺棄について問い詰められた時の信代の返答
信代「捨てたのを拾ったんです。捨てた人が、他にいるんじゃないですか?」
実際、親に放置されていた祥太を家に連れていき、リンも虐待されているところを引き取った。そして、貧乏ながらも楽しく暮らしていた。
治と信代は、偽物の親と言っていいのだろうか。
そして、子供たちを冷遇した親は、本物の親と言っていいのだろうか。
家族を家族たらしめるものは何だろうか。
僕は、家族かどうかは
一緒に過ごした時間の内容で、決まってくるのではないかと思う。
もちろん、血縁や法的な繋がりで家族はスタートすることがほとんどだ。
そこから、いかに絆を保っていくかどうかが大切なんじゃないだろうか。
「お父さん」とも「お母さん」とも呼ばない関係が万引き家族だった。
僕は母を亡くした数年後からは、新しい母に育ててもらった。
どっちが本当のお母さんなんだろう?
そんなことを小さい頃は考えていた。
血は繋がっていても、自分を、そして兄弟を無理心中で殺そうとする母親なのか。
それとも、血が繋がっていないからか絆が弱い中、ぎこちなくても少しづつ相手を理解しようとしてくれる新しい母親なのか。
「愛情」というものの形が、明らかに元々の母と新しい今の母とで違う。
でも、それはどちらが勝っているとかではない。
優劣ではないのだ。
僕はどちらの母にも感謝はしている。
僕にとってはどちらも家族であり、母親だ。
でも、僕が生まれた時からずっと虐待を受けていたとしたら、僕は元の母を家族とは思わなかっただろう。(というより、家族愛みたいなものを信じなくなっていたんだろうなー。 )
無理心中があったとしても、それまでの期間に確かに愛されていたことが伝わるから、元々の母を、確かに家族と思えるんだ。
もし虐待や冷遇が当たり前の家に生まれていたら、きっと家族の意義すら大きく変わっていただろう。
「家族とは冷たいもんだ。」
そんなどこか諦めの感情が生じていたんじゃないだろうか。ちょうどリンのように。
自分にとって本当に大切だと思えるような家族の意義を、ぶらしちゃいけない。
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